
2026.09.04
走る理由は、昔から変わらない
滋賀県でキャンプ場スタッフとして働く森香さん。2001年式のE24キャラバンと、ご家族と3歳の愛犬モリーとともに、暮らしの延長にあるようなバンライフを楽しんでいる。そんな森さんの走る原点は、ひとつの小さな記憶から始まっている。中学生の頃、母親の運転する車の助手席に乗っていたとき、すれ違った一台のバイクが手信号で挨拶を交わす姿に心を奪われた。
「それがすごくかっこよくて。“いつかああいうバイクに乗りたい”って思ったんです。そのときのバイクがハーレーで、学生の頃からバイトしてお金を貯めて、22歳でハーレーを買いました。夫とはバイクがきっかけで出会い、24年前に結婚しました。同い年のハーレーに、ずっと乗り続けています」
中学生の頃に抱いた憧れは、気づけば今の暮らしへとつながっていた。それ以来、乗り物は森さんの人生に欠かせない存在となっている。
「夫とも互いに乗り物が大好きなので、気が付けば車が5台、バイクが5台と、自分でも引いてしまうほど所有しています。ただ、その中で“普通”と呼べる車は軽自動車のハスラーのみ。それ以外は一癖も二癖もある、ポンコツと呼ぶに相応しい車両ばかり笑」
そんな暮らしの中で、旅はいつもすぐそばにあった。週末になれば自然と外へ向かう。特別な計画を立てるわけでもなく、天気や気分に合わせて動く時間。
「結婚当初から、週末ごとに夫婦で旅にでる日々を送っていました。天気が良ければバイクで、雨予報なら車で。いずれも野宿に近いような気ままな旅でした」
やがて家族が増え、そのスタイルにも少しずつ変化が生まれる。
「結婚8年目に娘を授かり、野宿のような旅に赤子を連れ出すのが不憫になり、当時所有していた初代ハイエースを、娘が1歳になる直前に、夫婦で車中泊仕様に改装しました。娘が1歳になり、お誕生日祝いも兼ねて自走で鹿児島まで車中泊の旅に出たのがバンライフの始まりです」
そこから15年。旅は家族とともにかたちを変えながら続いてきた。
「夫と2人旅だったのが、数年後にはワンコ連れになり、さらに年月を重ねて家族4人+ワンコの旅になりました。赤子だった娘と息子も、16歳と14歳。親とお出かけするよりも、友だちと遊ぶことが優先になり、大喜びで旅に付き合ってくれるのはモリーだけになりました笑」
キャラバンの鍵に付けたキーホルダーが鳴ると、モリーは尻尾を振って喜ぶ。その姿に背中を押されるように、またエンジンをかける。
「私もモリーも、とにかく食べることが大好き!新鮮なお魚が食べたい時は海沿いへ、美味しいお野菜が食べたい時は高原へ、そんな風に行き先を決めています。移動手段が違うだけで、バンライフの旅も、バイクの旅も、結局は『美味しいものを食べるため』という、ただの食いしん坊の旅なんです笑」

“自分でつくる”ことで、前に進む
現在のキャラバンにたどり着くまでには、いくつものDIYと、忘れられない出来事があった。初代ハイエース、格安で購入した雨漏れだらけのキャンピングカー、そして2代目ハイエース。乗り継ぐたびに自分たちの手で車内をつくり上げ、気づけばすっかりバン改装の魅力に夢中になっていた。そんなある日、夫がネットオークションを見ながら声をかけた。
「『良さげな払い下げのキャラバンがあるけど、どうする?』と聞かれ、『いっとこか!』と即答しました。夫婦そろってストッパーがいないって、怖いですね笑」
こうして迎えたのが、現在の2001年式E24キャラバン。もともとは福祉車両として使われていた一台で、購入時には車椅子用の電動リフトを備えたハイルーフ・ロングボディ仕様だった。
「2代目ハイエースとの乗り換えも考えましたが、後部座席がない3人乗りだったので、思い切って私とモリーだけのセカンドカーにしました。DIYで一番こだわったのは、車内で立てることと、料理のしやすさ。身長155cmの私が真っすぐ立てるように、床と天井はできるだけ薄くしました。旅の一番の楽しみは、その土地のおいしいものを食べることなので、キッチンだけは妥協したくなかったんです」
そんな車内には、森さんらしい旅のスタイルが詰まっている。しかし、このキャラバンには、もう一つ特別な意味がある。
「約4年前、バイクのソロツーリング中に、不運にも信号無視の車と遭遇してしまい、二十数年共にしたバイクが廃車寸前になりました。エンジンだけが奇跡的に無傷で、それ以外は見るも無惨な姿。私自身も利き手の右手首を粉砕骨折し、心も体も傷だらけでした。愛車のハーレーが帰ってくる目処は立たず、落ち込む日々でした。」
長く当たり前にそばにあった存在が、突然失われかける。そんななかで出会ったのが、このキャラバンだった。
「粉砕骨折した右手首を見ながら、『またこの手でバン改装ができるのだろうか』という不安はありました。それでも、このキャラバンだけは誰の手も借りず、自分ひとりで完成させようと決めたんです。いざ作業を始めてみると、不思議なくらい不安は消えていました。楽しさのあまり、手首の痛みも忘れて夢中になっていました」
約2か月後、キャラバンは完成。作業を始める前に感じていた手首への不安も、完成する頃にはすっかり消えていた。そして、このDIYの経験が、思いがけず次の仕事へとつながっていく。
「バイク事故後の慰安旅行で嬬恋高原を訪れたときに、SNSで新しくオープンするキャンプ場を見つけたんです。『もしかして求人があるのでは?』と思って調べてみたら大正解!『昭和レトロなキャンプ場を一からつくる』という話を聞き、DIY好きな私にぴったりだと思ったんです」
これまで培ってきたDIYの経験が買われ、採用が決定。こうして、ゼロからのキャンプ場づくりが始まった。
「猛暑の中、汗と埃にまみれ、スタッフ皆んなで作った“宝物”。2023年の9月に無事オープンしました。あれから3年、相変わらず毎日楽しく、ニコニコ笑いながらお仕事させてもらっています」
旅も、車づくりも、そして暮らしづくりも。森さんにとって大切なのは、自分の手で楽しみながら形にしていくことなのかもしれない。その自由な生き方を支えているのは、夫婦や家族のあいだにあるシンプルな価値観だった。
「“へぇー、面白そうやん”“ええやん。行ってきたらー”そんな風にお互いが寛大であること、これが平和に過ごす秘訣かもしれませんね。『笑いが絶えない毎日を過ごす』これは結婚式で誓った言葉でもあり、我が家のポリシーと言えるのかな?知らんけど笑」
森さんにとって、バンライフとは何か。
「360度好きな物に囲まれた、自分だけの走る宝物。心配性で、1人でテントで寝るのは不安だったけれど、自作のハイエースで初めて車中泊をした時、驚くほど朝までグッスリ眠る事ができました。鍵をかけて密室になっている安全性が、安心感をもたらせたのだと思います。心配性がゆえ、他者と関わるのも楽しいけれどちょっと疲れる…。そんな私の心のよりどころがバンライフなのかもしれません」
だからこそ、これからも大きくは変わらない。
「“今日を全力で楽しむ!”あまり先のことを考えず、流れに身を任せて、ゆるーく楽しく過ごしていきたいと思っています。50歳を前に振り返ると、“あぁ、確かにずーっと楽しかったよなー”って思います」
これからも、ゆるく、自分らしく走り続けていく。



PICKUP.01
360度、好きなものに囲まれた走る空間
キャラバンの内装は、木材や古い家具のような質感を取り入れたビンテージテイスト。森さんが目指したのは「外国のおばあちゃんの家」のような空間。移動するための車でありながら、旅先でも自分らしく過ごせる居場所となっている。

PICKUP.02
旅先のおいしいものを、車内で楽しむためのキッチン
旅の一番の楽しみは、その土地ならではのおいしいものを味わうこと。現地の食材を車内ですぐに調理できるよう、限られた空間の中でもキッチンの使いやすさには妥協しなかった。森さんの“食いしん坊の旅”を支える、こだわりの場所。

PICKUP.03
22歳で手に入れた、同い年のハーレー
中学生の頃、偶然目にしたバイク乗りの挨拶に憧れ、22歳で手に入れたハーレー。夫との出会いのきっかけにもなった一台で、24年経った今も乗り続けている。森さんにとって、旅や乗り物との暮らしの原点となる存在だ。

昭和レトロをテーマにしたキャンプ場づくり
森さんが働くキャンプ場は、2023年にオープン。もともとはガラクタや埃が残る状態だった場所を、スタッフとともにDIYで整備していった。昭和レトロな雰囲気を残した建物や空間づくりには、これまで車の改装で培った経験が生かされている。

customer reviews
知り合いのバンライファーさんが、こぞって愛用している魔法瓶ブランケット。
画像等で見る限り「またまた~(眉唾)」というのが第一印象でした。イベントで実際手に取り、熱源が無いのにジンワリと暖かくなっていくのを体験したら、欲しくてたまらなくなりました。
冬の車中泊。某有名メーカーのシュラフを使用していましたが、うつ伏せ寝を好む私には、身動きの取れなくなるマミー型のシュラフでは安眠できず…。仕方なくチャックを全開にし、掛け布団のように使用するのですが、それでは寒くて目が覚める。
上から毛布をかけても、シュラフがツルツル滑り、結局寒くて目が覚める。電気毛布を追加すると、朝方暑くて目が覚める。期待半分、疑い半分で初めて魔法瓶ブランケットを使っての車中泊。ブランケットに入った瞬間、ジンワリと暖かくなる感覚に思わずニコニコしてしまいました。
もちろん朝までぐっすり!1枚で暖かいのでズレることもないし、うつ伏せ寝も支障なし。冬の車中泊で「暖かさも、寝返りの自由さも妥協したくない人」には、間違いなくおすすめできるブランケットだと思います。大きなサイズなので、車中泊だけでなく、お家でも掛け布団として毎日使ってます!キャラバンのインテリアにぴったりなデザインもお気に入りポイント♪



